監獄学園にやってきたクズな大罪人は、男ぎらいな次席看守さまを落としたい。


 この問題児、本当に頭がいたい…!

 こめかみを押さえてため息をつくと、くいっとあごをすくい取られた。

 強制的に顔を上げさせられて、オレンジ色の瞳が私の視界を占領する。


 …あれ?




Verbrechen(フェアブレッヒェン)の連中から妙なうわさを聞いたんだが、俺はいままでただのうわさだと思って流してた」


「うわさ…?」


「あぁ。でも、ただのうわさじゃねぇなら…笑って流すわけにはいかねぇ」




 …やっぱり。

 雷牙、なんか怒ってる…。




「…なに、怒ってるの?」


「そりゃイラつくだろ。景依(けい)に手ぇ出されちゃ…な」


「私…?」


「お坊ちゃんにプロポーズされたんだってな?」


「!」




 ぎくり、と心臓が跳ねてとっさに目をそらす。

 雷牙には関係ないことなのに、なんだかわるいことをした気分…。

 すごく、胸がもやもやする。
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