監獄学園にやってきたクズな大罪人は、男ぎらいな次席看守さまを落としたい。


「沈黙は肯定、か?…なんて答えた?どこまでしたんだ?」


「な、なにもっ…雷牙には、関係ない、でしょ…」




 もやもやを晴らしたくて、正しい線引きをしたくて、そう口にする。

 でも、その結果、逆に胸がざわついた。

 …雷牙の顔を見れない。




「ふぅん…俺には関係ない、ね…」




 
 嘲笑(ちょうしょう)まじりの声を聞いて、心臓がどくりと音を立てた。

 なにかにかき立てられて、ちゃんとぜんぶ言わなきゃ、誤解を晴らさなきゃ!と視線が雷牙にもどる。

 けど、視界に映ったのは閉じたまぶただった。


 ――口に、やわらかいものがふれる。




「本気で言ってるなら、強引に思い知らせるしかねぇんだけど」


「ら、い…」




 最後まで名前を呼ぶことも許さず、雷牙は私の口をふさいだ。

 どっどっどっ、と心臓の音が聞こえる。

 体中の血が沸騰したように、顔も体も、指先も…ぜんぶが熱かった。



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