監獄学園にやってきたクズな大罪人は、男ぎらいな次席看守さまを落としたい。
****




「景依ちゃん?看守の日なのに、先に帰ってるなんて…どうしたのっ?」




 夜になって、寮に帰ってきた兎杏(とあ)の声を聞いて、私は助けを求めた。




「兎杏…私、もう、どうしたらいいか…っ!」


「景依ちゃん…!」




 仮病を使って看守業務を…学校を休んだのなんて初めて。

 テーブルに顔を伏せていた私は、そばに駆け寄ってきた兎杏に、黙秘(もくひ)し続けてきたすべてのことを打ち明けた。

 財前先輩にプロポーズされたことも、雷牙に迫られてたことも、キスされたことも。




「会長とのうわさは聞いてたけど…108番ともそんな関係に…」


「いままで、だまっててごめんね…」


「ううん。まじめな景依ちゃんだもん。言えないのわかるよ…」
< 129 / 289 >

この作品をシェア

pagetop