監獄学園にやってきたクズな大罪人は、男ぎらいな次席看守さまを落としたい。


「へ、変なことを言わないでくださいっ!」


「ごめんごめん。もしかして1人で会長のこと考えてたの?」


「なにを…」




 言ってるの、と目を丸くすると「けーい」とうしろから声をかけられて、ドキッと心臓が跳ねた。




「ら、雷牙…」




 ふり返った先に予想どおりの姿を見つけて、一歩うしろに下がる。

 燃えるような赤髪の男は、そんな私の反応を見て、目を細めながら笑った。

 ドキドキッと、鼓動が乱れる。




「108番、また抜け出したのかい?ここはきみの家じゃないんだよ」


「自由に出歩いてるだけで、問題は起こしてないだろ。堅いこと言うなよ」


「その“自由に出歩く”ことがもう問題なんだって。革工(かくこう)工場にもどるよ」


「午前のノルマは終わらせてきた。そんな急がなくていいじゃねぇか」
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