監獄学園にやってきたクズな大罪人は、男ぎらいな次席看守さまを落としたい。


 目を見開けば、雷牙はくっくっと笑った。

 まただまされたことにむかっとくるけど、今日初めて見る雷牙の笑顔に、ちょっとほっとした自分もいる。

 恋心って、やっかい…。




「でも、今日は大人しいじゃないですか。脱走もせずに」


「すねんなって。…ちょっと反省したんだよ、すこし調子に乗ってたなって」


「…反省?雷牙が?」




 反省なんて1回もしたことがなさそうなのに。

 目を丸くして、ぱちぱちとまばたきすると、雷牙はため息まじりに笑う。




「んだよ、その顔。俺だって惚れた女を追いこんでたって気づけば、反省もするっての」


「!」




 ドキッと、心臓が跳ねる。

 “惚れた女”って…雷牙の言葉がうそじゃなければ、私、なんだよね…?
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