監獄学園にやってきたクズな大罪人は、男ぎらいな次席看守さまを落としたい。


「…まじかよ。ははっ…」


「ち、ちがう!私は雷牙のことっ、好きなんかじゃない!」


「俺は好きかどうかなんて聞いてねぇぞ」




 顔を見なくても口角が上がっているのがわかる、甘ったるい声にぎゅっと目をつむった。

 ダメ、ダメ、ぜったいにバレちゃダメ…!




「景依、」


「雷牙は!“無期”懲役でここに来た受刑者だしっ、外に出たって赤城(あかぎ)会会長の孫だし…っ、私には許されない相手なのっ」


「!」


「だから、私が雷牙を好きになることはぜったいにない!ぜったい、ぜったい…!」


「…」




 傷つけたかな、という不安が一瞬おそってくる。

 でも、これは事実だから、と奥歯を噛み締めた。


 私たちが両想いでも、私たちはぜったいに結ばれない。

 両片想いっていう、いまの関係を続けていかなきゃいけないんだ。
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