監獄学園にやってきたクズな大罪人は、男ぎらいな次席看守さまを落としたい。

 ぐっと、身を固くしていると、雷牙は私の頬をなでた。




「そうかよ。一瞬、景依が俺に落ちたのかと思ったが…気のせいだったみたいだな」


「あ、あたりまえでしょっ」


「そいつは残念。でも景依を落とすのはあきらめねぇ。そういうのぜんぶ、どうでもよくなるくらいおぼれさせてやる」


「…っ」




 そんなことできないのに、と思いながらも、私の胸はよろこんでいる。

 大きな鼓動がそのことを教えてくれて、唇を引き結んだ。




「…なぁ、キスしたときの景依の顔、すげぇかわいいの自覚してるか?俺、いまキスしてぇんだけど」


「だ、ダメっ!」




 なんてこと言うのっ、と雷牙から身を離すと、「冗談だよ」と笑いながら抱きしめられた。

 べったりと体がくっついてしまっていて、これじゃあこの大きすぎる鼓動が雷牙に聞こえてしまうんじゃ、とあせる。
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