監獄学園にやってきたクズな大罪人は、男ぎらいな次席看守さまを落としたい。


 そう言いながら、財前先輩はすこし口角を上げる。

 まえまでの、笑わないひとっていうイメージが強いから、いまだにどきまぎするなぁ…。


 私のまえに来た財前先輩をちらりと見上げて、もしかしていまがチャンスなんじゃ、と私はこっそり深呼吸をした。




「…あのっ、プロポーズ、の返事なんですが…」


「あぁ。2学期の末まででかまわない」


「え…」


「契約関係とは言え、将来におおきく影響することだ。検討する期間も必要だろう?」


「あ、えぇと、その…」




 いま、お断りしようかと思ったんですが。

 と、いう言葉を流れで言えなくなって、目をそらす。

 まぁ…たしかに…進路のひとつとしてもっとちゃんと考えるべきなのかも…?




「ただ、俺からは…俗にいうアプローチというものをさせてもらう。…明後日からは俺たちも夏休みだ、1日2日、どこかに出かけないか?」
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