監獄学園にやってきたクズな大罪人は、男ぎらいな次席看守さまを落としたい。
運命の一手
帰ってきた男
心の防衛手段として、“忘れる”という行為は多くあげられるものだと思う。
大事件が起こっても時は止まらずに進み、2学期が始まった。
監獄学園で集団脱獄が起こったことは、ニュースでも取り上げられ…私たちは失態を胸に抱えながら生活している。
雷牙のやったことから目はそむけられない…。
だから私は、雷牙の気持ちがうそだったと、私の気持ちもだまされて芽生えた一時の気の迷いだと思って、忘れることにした。
…もしかしたら、数日間の空白の記憶も、とてつもなく心が傷つく出来事があって、脳が忘れさせたのかもしれない。
「では財前先輩、お先に失礼します」
「あぁ。気をつけて帰るように」
「はい」
笑って答え、生徒会室を出る。
財前先輩と辺春先生との共同生活は2週間で終わりを告げた。
私の素行に特に問題はないと判断されたから。