監獄学園にやってきたクズな大罪人は、男ぎらいな次席看守さまを落としたい。


 なんてしたの、とへらへら笑ってる雷牙に詰め寄ろうとして、ハッと我に返る。

 ちがう、いままでの関係はぜんぶうそ。

 惑わされちゃいけない、と腕を組んで顔をそむけた。




「そんな変装で学園のまえをうろつくなんていい度胸ですね。他の脱獄者はどこですか、吐きなさい」


「なんだよ、すねてんのか?勝手にいなくなってわるかったって」




 ぽん、と肩に手を乗せられて、パシッと払い落とす。




「さわらないで」


「…怒ってんの?」


「いいえ、怒る道理がありません。刑務官としてあなたを刑務所に連れもどすという使命はありますが」


「…はぁ、まいったな」




 ため息をつかれて、むかっとした。

 脱獄なんてしておいて、私をこれまでどおりあやつれると思ったの…!?

 私はフード越しに頭を押さえている雷牙をにらんで、忠告することにした。
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