監獄学園にやってきたクズな大罪人は、男ぎらいな次席看守さまを落としたい。


 私をまっすぐに見つめる雷牙の口から出てきたのは、そんな言葉。

 笑いもせず、真剣な表情で静かにそんなことを言われたら…雷牙らしくなくて、動揺してしまう。




「俺が、勝手にムショ出たのは…景依がなんも気にしなくて済むようにするためだ」


「はぁ…?」


「本気で景依が欲しいから、俺の罪を消すことにした」


「っ…罪を消すって、そんなかんたんに…」




 まっすぐな視線に、忘れようとしたものがゆり起こされてしまう。

 目をそらすと、「信じて欲しい」と落ちついた声が降ってきた。




「ここに来たときはさ、俺…大事なダチ失って、ぜんぶどうでもよくなってたんだ。ムショのなかで死んでもいいって思ってた」


「え…」


「でも、また景依に会って、惚れて…そんな気持ちなんか忘れて、景依が欲しいって一心で、毎日楽しく生きてた」


「…また?」
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