監獄学園にやってきたクズな大罪人は、男ぎらいな次席看守さまを落としたい。


 ショックで涙がにじむと、雷牙(らいが)に抱きしめられてとんとんと背中を叩かれた。

 私は雷牙の服を掴んで、胸板に額を押しつける。




「気にしなくていい。わるいのはぜんぶ赤城会だ」


「っ…雷牙も、赤城会の縁者のくせに…!」


「まぁな。その俺が言うんだから、景依はわるくない。…それよりも、思い出したか?俺と最初に会ったときのこと」


「雷牙と…」




 つぶやきながら、記憶の海にひたる。

 あれはたしか、赤城会に誘拐されて、2日目の午後…12月29日のこと。

 学園の情報を洗いざらいしゃべったあと、私はあの倉庫に1人にされていて。


 倉庫の扉を開けながら、「おーい、元気か?」って言って入ってきた男がいたんだ。



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