監獄学園にやってきたクズな大罪人は、男ぎらいな次席看守さまを落としたい。


 自白剤使われてるのを利用してひとをもてあそぶなんて…!

 学園の情報を引き出したあの男たちとちがって年は近いみたいだけど、やっぱり暴力団の縁者だ!


 頭に浮かんだ罵倒(ばとう)もそのまま口に出ているのに、男は楽しそうに笑って『そりゃどうも』なんてざれごとを言っている。




『まぁ、おまえが不満なのはわかった。今度はちゃんとした質問をしてやる。…なんで監獄学園に入ったんだ?』


『刑務官になるため。家の県内だし』


『じゃあ、なんで刑務官を目指してる?ふつうじゃ縁のない世界だろ』


『うちの父親みたいなクズな男を矯正するため!再犯なんて考えもしなくなるようにくさった性根を叩き直すの!』


『へぇ、親父が犯罪者なのか。しかも再犯をした。おまえの男ぎらいもそこからか?』


『そう!』
< 194 / 289 >

この作品をシェア

pagetop