監獄学園にやってきたクズな大罪人は、男ぎらいな次席看守さまを落としたい。
 雷牙は「へぇ?」とふり向いて、歩きながら私を見た。




「それじゃ、特に立場がわるくなったりはしてないんだな」


「…えぇ。むしろ先生方も納得してくれたようです。私があなたのアリバイを握っている重要人物だから、よく絡まれていたのだと」


「ははっ、なんだそれ」


「あなたの脱獄を手伝った者が私なんじゃないかと、うたがわれていたんですよ。財前先輩や先生と同室で生活することになって、大変だったんです」


「はぁ?」




 目を見開いて、雷牙は体ごとふり返る。

 足を止めた雷牙の胸をとんと押して、私は「進みなさい」と言った。




「お坊ちゃんと一緒にいたのか?」


「えぇ、24時間監視されていました。あなたのせいで」


「俺が再審の準備してるあいだにそんなことしてたのかよ。景依にプロポーズしたやつだぞ、わかってんのか?」
< 217 / 289 >

この作品をシェア

pagetop