監獄学園にやってきたクズな大罪人は、男ぎらいな次席看守さまを落としたい。


 うしろ向きに歩きながら、雷牙は不満げに私を見る。

 だれのせいだと思ってるの。




「財前先輩は公私混同をしません」


「そうやって油断してたらあっという間にたらしこまれるぞ。景依はただでさえちょろいんだし」


「はぁっ?だれが!」




 かちんと来て雷牙をにらんだ。

 なんで私は、こんなにむかつく上にクズな詐欺師を好きになっちゃったんだろう?




「事実だろ?すぐだまされるし、キスひとつでとろけた顔するし…あの顔、ぜったい他の男に見せんなよ」


「なっ…!そ、そんな顔してませんっ!」




 かぁっと赤面して、顔をそむける。




「してる、すげぇ顔。かわいいなんてレベルじゃねぇ。あの顔見ただけで男は惚れるぞ」


「っ…」
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