監獄学園にやってきたクズな大罪人は、男ぎらいな次席看守さまを落としたい。
独居房の密談
16時50分。
刑務作業を終え、房にもどる時間。
私は独居房暮らしの雷牙を1人で送り届けて、閉房点検をしなければいけない。
「なぁ、俺、今度はずっと独居房ってまじ?」
「もちろんです。集団脱獄の首謀者を雑居房に入れるわけがないでしょう」
「寝場所変えたってやりようはあるけどなぁ」
房の扉を開けて雷牙をなかに入れながら、キケンな発言をするその横顔をにらんだ。
「また脱獄する気ですか?」
「やりようはあるって言っただけだろ?メリットもねぇし、別に逃げる気はねぇよ」
「メリットがあっても脱獄なんてしてはいけません、犯罪です」
「そりゃよくわかってるって、脱獄の罪でここに入ってんだし」
雷牙はへらりと笑って、私の手をひっぱる。
一歩、独居房のなかへと入ると、雷牙は私の代わりに扉を閉めた。