監獄学園にやってきたクズな大罪人は、男ぎらいな次席看守さまを落としたい。
独居房がならんだ廊下でそう叫ぶと、私は鳩野さんを連れて開房点検を始めた。
先日まで新入りもいたけど、いま独居房に入っているのは雷牙1人。
房のカギを開けて扉を開くと、雷牙は布団のなかで体を起こして、大きなあくびをしていた。
「ふわ~ぁ…はよ~、景依。…んぁ?となりの、見ねぇ顔だな」
「おはようございます。いつまでぐーたらしてるんですか、さっさとそこに直りなさい」
「はいはい。なんだ、新顔か?」
「3学期ですから。1年特進クラスの生徒が現場に加わるんです。ちょっかいを出さないように」
雷牙はあぐらに体勢を変えながら、「あぁ」と納得した声を出す。
それから、ひざにひじをついてにやりと鳩野さんを見上げた。
「これからよろしくな、新人センセ」
「私語はつつしめ。点呼を受けるときは正座だ」
「へぇへぇ」