監獄学園にやってきたクズな大罪人は、男ぎらいな次席看守さまを落としたい。


 目を伏せて肩をすくめた雷牙は、体勢を変えないまま私を見る。




「景依、ボタン一個ずれてんぞ」


「えっ」




 とんとんと、自分の胸元を叩きながら指摘してきた雷牙を見て、あわてて視線を落とすと、ボタンはぜんぶきっちりと閉じていた。

 制服はよれてないし、かけまちがえてもない。

 っていうことは…。




「ははっ、ジョーダン。相変わらず景依はかわいいな」


「なっ…!108番!ふざけるのも大概にしなさい!」




 かぁっと赤面して雷牙をにらむ。

 なんでそういううそついたりするかな!




「そりゃあ、息すんなって言ってるのとおなじくらい無茶な言葉だぜ。新人センセーもこれくらいかわいくなりな?」


「…藤枝先輩」
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