監獄学園にやってきたクズな大罪人は、男ぎらいな次席看守さまを落としたい。
「うん。寝る」




 お兄ちゃんに寝ろと言われたら寝る。

 それが自分のすべて。

 自分はお兄ちゃんとの別れを惜しんでから、通話が切れたスマホを下ろした。


 ベッドに入ろうと立ち上がったところで、ピンポーンと呼び鈴が鳴って、玄関に行く。




 ガチャ


「はい」


「あ、こんばんは、わたし、2年の小柳(おやなぎ)兎杏(とあ)です。その、景依(けい)ちゃんのルームメイトで…」


「知ってます。なにか?」




 藤枝先輩といちばん仲がいいひと。

 身長も藤枝先輩とおなじくらいの。

 じっと見下ろすと、小柳先輩は体をちいさくして「あの、なかに入れてもらってもいいですか?」とおずおず聞いてきた。




「はあ。どうぞ」
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