監獄学園にやってきたクズな大罪人は、男ぎらいな次席看守さまを落としたい。


 私は他のGebot(ゲボート)生にそう告げて、真波と一緒に指導室へと急いだ。

 雷牙が連行されて、私も呼ばれた…なんて、わるい想像ばかりしちゃうのは、ただのネガティブ思考なのかな。


 ばくばくとあせりを音に変えている心臓をなだめるように、こっそり深呼吸をして、指導室の扉をノックする。




「失礼します、藤枝です」


「鳩野です」


「ご苦労。鳩野はもどっていいですよ」


「しかし自分はこの時間、108番の監督義務があります。さらには次期副会長候補です。同席をお許しください」




 無茶な言いぶんを、と思ったのだけど、雷牙の向かいに座っていた辺春(へばる)先生は「許可しましょう」と目をつむった。

 えぇ…とおどろきつつ、つばを飲みこんで、私は口を開いた。




「それで、ご用件は…」


Gebot(ゲボート)の代表として同席を命じます。そちらに座りなさい」


「はい」
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