監獄学園にやってきたクズな大罪人は、男ぎらいな次席看守さまを落としたい。


「このままでは、108番を旗頭(はたがしら)として、Verbrechen(フェアブレッヒェン)が必要以上に団結してしまうのではないでしょうか」


「そうかな?Verbrechen(フェアブレッヒェン)に秩序ができていいんじゃない?僕らは108番を通じて、彼らを好きにうごかせるようになるわけでしょ」


林郷(りんごう)先輩…」




 うしろから声が聞こえてふり返ると、生徒会所属の林郷(りんごう)(あつし)先輩がにこにこほほえんで立っていた。

 深緑色の長髪を右肩のまえでひとつに結んだ姿はいつもどおり。

 Gebot(ゲボート)3年生の証である銀色の線が制服のそでに入っている。


 生徒会は前年の2年首席が会長に、1年首席が副会長に、という決まりがあるけど、他の役員は推薦形式だから一般クラスでも入ることができる。

 だけど、林郷先輩は財前先輩とおなじ、特進クラス所属のひと。

 1年のころは10人ほどいる特進クラス生も、3年まで残れるのは大体3人くらいだから、どれほどすごいひとなのかは言うまでもない。
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