監獄学園にやってきたクズな大罪人は、男ぎらいな次席看守さまを落としたい。
 …男だから尊敬はしないけど。




「秩序、か」


「林郷先輩も先ほどの授業時間に、108番を近くで見たのでは?かんたんに(ぎょ)せる人間じゃないのは見てわかるかと思いますが」


「副会長ともあろうひとが、手綱(たづな)を取る自信がないの?」


「そんなことは一言も言っていません」




 ぷいっと顔をそむける。

 開いてるか閉じてるかもわからないその糸目じゃ、ちゃんと見えないんじゃないの?って嫌味を言いたくなる…。


 財前先輩は「ふぅ」とため息をついた。




「1人の受刑者に力を持たせすぎるのは得策じゃない。108番がVerbrechen(フェアブレッヒェン)を掌握しないように、注意して見ておくこと」


「はい!」


「承知しました、会長殿」
< 31 / 289 >

この作品をシェア

pagetop