監獄学園にやってきたクズな大罪人は、男ぎらいな次席看守さまを落としたい。
「108番、って…あの殺人罪のひとだよね。昨日、雑居房に移ったんだっけ」


「うん。受刑者同士って、よりわるいひとがえらい、みたいな風潮(ふうちょう)があるから…当然と言えば当然なんだけど」




 うしろに手をついて、無地の青いカーテンをながめる。




「よりわるいひと…かぁ。わたしは遠目に見ただけだったけど、ちょっと思ってた感じの人とはちがったかな」


「そう?」


「うん。大量殺人でしょ?もっとこわいひとかと思ってた。…ニュースの影響かな。お正月に何回も見たし」


「まぁね…」




 お正月だって言うのに、今年はぶっそうなニュースから幕を開けた。

 1月中は、ずっと捜査状況があーだこーだって、さわがれてたし。

 おかげで、私もはっきり覚えてる。




「“少年A、13人を殺害。非行少年同士のケンカから殺人に発展か”」
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