監獄学園にやってきたクズな大罪人は、男ぎらいな次席看守さまを落としたい。
「もう1人付き添いをお願いします」




 あのひと1人じゃ心配で、制服のそでに銀線が入ったひとたちを見ながら言うと、1人がうなずいて工場を出ていった。

 はぁ、と盛大なため息がもれる。

 頭がいたい…。




「72番ともう1人はちょうばつ房へ」


「はぁ!?なんで俺まで!」


「72番は口よりも先に手が出るクズですが、自分本位に手を出すクズではありません。どうせあなたがちょっかいを出したんでしょう」


「そうそう、こいつおれの悪口言ったんだ!」


「加害者をひいきすんのかよ!」


「“加害者”、“ひいき”?」




 口が達者なVerbrechen(フェアブレッヒェン)生をじろっとにらむ。

 どうやって反省させようか、と考えていると、兎杏が「わたし、見てました」とひかえめながら力強く言った。




「あなたが72番を侮辱して、肩を小突いたのがきっかけでしたよね?」
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