監獄学園にやってきたクズな大罪人は、男ぎらいな次席看守さまを落としたい。


 優雅に礼をする財前先輩を見て、やっぱりかっこいいひとだ!と頬をゆるめた。

 私も財前先輩にならって礼をすると、おえらいさんは「首席になる者も次席になる者もまちがえている!」と怒りながら帰っていく。

 その背中が見えなくなると、私はぐっと胸のまえでガッツポーズをした。


 やった、むかつく人を追い払えた~!




「財前先輩、さすがです!出しゃばってすみませんでした」


「…」


「…財前先輩?」




 ふかぶかと頭を下げて顔を上げると、財前先輩は私のうしろをじっと見つめていた。




「…いや、気のせいだな」


「はあ…」


「通常業務にもどるぞ、藤枝」


「はい!」




 私は元気よくうなずいて、財前先輩と来た道をもどっていく。

 不満が溜まっていそうなVerbrechen(フェアブレッヒェン)をうまくなだめないと。


 …それにしても財前先輩、なにを気にしてたんだろ?



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