監獄学園にやってきたクズな大罪人は、男ぎらいな次席看守さまを落としたい。
「Verbrechen総出であのチビ看守に恥をかかせましょうか?」
「えぇー、せんせーにいじわるするの?」
…ん?
景依のことを思い返していたから、意識が“ここ”にもどってくるまで、ちょっとばかし時間がかかった。
ななめ向かいでしょぼくれた顔をしてるわんこを見て、いま言われたことを脳内で繰り返す。
「…いや、面目をつぶしたいわけじゃねぇ」
景依が気に入らないわけじゃない。
むしろその逆。
「あいつは気が強くてまっすぐで度胸があって、そのわりにちょろいのが、からかいがいがあっておもしろいだけだ」
気分よく言ってから、ん?とひっかかった。
…なんだ?
なんかいまのフレーズ、どっかで使ったような…。