監獄学園にやってきたクズな大罪人は、男ぎらいな次席看守さまを落としたい。


「なぁ、これって“まじめ”でやってんの?それとも“可能性”があってやってんの?」


「なにわけのわからないこと言ってるんですか」


「まぁ、まじめのほうだよな」


「そんなことよりも!どうして木槌に傷があると言わなかったんですかっ」




 医務室の扉を開けながら108番をにらむと、「そう怒んなよ」とへらりとした笑顔が返ってきた。




「あれくらい、わざわざ言わなくても作業できるし」


「じゃあ怪我は!」


「これくらい、怪我のうちに入んねぇだろ」


「受刑者の健康は守られるべきものです。報告義務をおこたらないでください」




 108番をイスに座らせて、カットバンを探す。

 救急箱を開きながら横目ににらむと、108番はうしろの机にひじを置きながら肩をすくめた。
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