監獄学園にやってきたクズな大罪人は、男ぎらいな次席看守さまを落としたい。


「なにをそんなにカッカしてんだ?きらいな男がちっせぇ傷作ってただけだろ」


「すぐ人にたよる軟弱な男はきらいです。でも、人にたよろうとしないあなたのような男もむかつきます!」




 さっきから感じていたイライラをがまんせずにぶつけると、108番は目を丸くする。

 それから、ふっと口角を上げて頬杖をついた。




「じゃ、直さないでおく」


「私の言うこと聞いてたの!?」


「あぁ、もちろん。それよりさ、作業中ずっと俺のこと見てたろ。なんか言いてぇことあんの?」




 それよりって…!

 やっぱりイライラしながら、右手を出させて、手のひらにカットバンを貼る。




「あります。…あのときは…かばってくれて、ありがとう。…でも!ぜんぶ忘れなさい!」


「むり。景依(けい)の悲鳴って耳に残んだよな」


「忘れて!」
< 88 / 289 >

この作品をシェア

pagetop