監獄学園にやってきたクズな大罪人は、男ぎらいな次席看守さまを落としたい。


 かぁっと赤面しながらもう一度言うと、108番はくっくっと楽しそうに笑って、指の背で私の頬をなでた。




「いいじゃねぇか、どうせ一回見てんだ」


「だからその一回を忘れてって言ってるの!」


「そんなに忘れて欲しいなら…ここに座れ」


「はぁっ?」




 ここ、と108番が指さしたのは自分のひざ。

 なんでそんなくつじょくを…!




「俺は別にかまわないぜ?鬼看守の弱みがいつVerbrechen(フェアブレッヒェン)にもれたって」


「うっ…!」




 きょうはくなんて、ひきょうな…!

 私は目をそらして、ぐぐぐ、とはげしくかっとうした。

 でも、Verbrechen(フェアブレッヒェン)になめられるわけにはいかないから、一歩、まえに踏み出す。


 すると、腰に腕が回って、向かい合わせのまま抱き寄せられた。




「ちょっとっ、なに…っ!」


「――じっとしてろ」
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