監獄学園にやってきたクズな大罪人は、男ぎらいな次席看守さまを落としたい。


「なにするの!」


「心当たりを教えてやろうと思ったんだが…必要ないか?」


「!どこ!?」




 もともと近くはあったけど、108番に詰め寄って聞けば、彼は首を(かし)げてじっと私を見つめた。




「うまくおねだりできたら教えてやる」


「はぁっ?」


「ほら、はやくしないと“103番”が逃げるかもしれないぞ?」




 にやりと楽しそうな笑顔をしているのがむかつく。

 私はほんのすこしだけかっとうして、いまは非常事態、と目をつむった。




「教えてください、108番さん」


「ぜんぜんダメだな。俺は景依にかしこまられてぇわけじゃねぇし…俺の呼び方もちゃんと教えたろ?」


「っ…お、教えて…雷牙(らいが)


「ひとにたのむときはちゃんと目を見ねぇと」
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