Lazy President
本当に人住んでる…?と疑ってしまうほど。
管理人さんっぽい人もエントランスにいなかったし、何か秘密があるのだろうか。
でもまぁ、大した理由はないんだろうな…と軽く考えていたら。
「ここ、俺以外住んでないんだ…ってゆーより、住めない?って言った方が正しいのかも」
「…………はい?」
ど……どういう、こと?
芹くん以外、誰も住んでない…?
他の人が住めないって…なに?
芹くんから告げられた衝撃の事実に呆然としてしまう。
じゃあ、このタワマンは芹くん専用のマンションってこと…なの…?
頭の中がはてなマークで埋め尽くされていき、疑問が山のように積み上がっていく。
「詳しい事はまだ言えない。口止めされてるから、結羽も他言禁止ね」
「う、うん…」
非現実的な話すぎて、嘘なんじゃないかと疑ってしまいそうになるけれど。
そんな嘘をつく必要はない……よね。
実際、芹くんの部屋に来るまで誰にも出会わなかった。
話し声や物音もしない、静まり返った深夜のマンション。
そんなマンションに、芹くんはたった一人で住んでるんだ。