Lazy President
「…ま、こんなとこかな。俺の話はとりあえず終わり。また何か気になることがあったら言って。話せる限り話すから」
軽く世間話をするみたいに、芹くんは紅茶を一口すすって焼き菓子を口に頬張った。
芹くんを見る限りは平気そうに見えるけど、人の気持ちなんて本人にしか分からない。
今この環境に至るまでの経緯を知らないから、尚更芹くんの気持ちを勝手に想像して発言するのも躊躇われる。
……なら、私が言えるのはこれだけ。
「うん…ありがとう。私なんかに話してくれて」
込み上げてきた言葉をグッと飲み込み、もう片方の本音を伝えたら。
「相手が結羽じゃなかったら、言ってない」
ボソッ、と小さく零れた。
「え…?」
一瞬言われた意味が分からなくて、ゆっくりまぶたを落とす。
「…結羽だから、話したんだよ」
彼の頬が、ほんのり赤く染まった。
それと同時に私の鼓動が高鳴って、胸の奥がきゅんと音を立てる。
え……な、なに?その顔…。
「せ、芹く────」
「はい、おしまい。次は結羽の番でしょ。結羽の自己紹介とさっき泣いてた理由を話して」
「あっ、元に戻った…!?なんで!?」