Lazy President
無事に合格して、嬉しさのあまり電話でお母さんに報告しようと思ったのに。
『あ、結羽?ちょうど良かったー。私、離婚したから。明日から結羽はどっかの親戚の家に住むことになるから、今日中に荷物まとめといてよ?』
私の中の何かが、ガラガラと崩れ落ちる音がした。
別に、2人がよりを戻すことを夢見ていた訳じゃなかった。
この状況が今更どうなるわけでもないって、諦めはついてたはず…なんだけど。
あぁ、もう本当に終わっちゃったんだ…って。
私なんて、2人にとってどうでもいい存在だったんだなぁって。
分かりきってることだとしても、それが現実になるとなかなかに辛いんだってそのとき初めて知ったよ。
それから直ぐにお母さんの親戚の家にお世話になったけど、明らかに私を見る目が普通のそれとは違った。
『家を捨てて出て行ったくせに、忌み子だけよこすなんてたまったもんじゃないわ』
お父さんとお母さんの祖父母に会ったことが一度もなかったから、もちろん親戚の顔すら知るはずもない。
ただ、親戚同士が集まった時に聞こえてきた『忌み子』というワードが引っかかった。
吐き捨てるようにそう言っていた親戚の顔は、きっと一生忘れることは無いだろう。