Lazy President
中学を卒業すると同時に、一人暮らしを勧められた。
家賃も食費も全て払う、その方が高校に通いやすいんじゃないか、と。
たしかに、親戚の家からは公共交通機関を使って2時間近くかかるため、至極真っ当な提案だった。
でも、それは向こうの建前に過ぎない。
家族を、自分の子供を捨てた母親が産んだ子供が自分の家に居座り続けてることが耐えられなかった…というのが本音だろう。
でも、私はそれに有難く乗っかって、高校に通いやすいアパートへと引っ越した。
両親はいわゆる『できちゃった婚』だったことも、私が望まれた子じゃないこともその時知った。
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「アパートに引っ越したとしても親戚の目があるし、あの言葉も一生忘れない。それでも結局、私は親戚に生かされてる。もちろん感謝はしてるけど、あのアパートにいる限りはどうしたって窮屈な思いしか感じないんだ」
やっとそこまで言い切って、爪が食い込むほど拳を握りしめていたことに気がつく。
「…ごめんね、ダラダラ話しちゃって。思ってたより長くなっちゃったかも」
芹くんの反応が、怖くて見れない。