Lazy President
口角を無理やり上げて、必死に作り笑いを浮かべる。
「だから、さっき芹くんに線を引かれた気がして勝手に寂しくなっちゃったの…って、それでも変でしょ?」
私…今、ちゃんと笑えてる?
「わけわかんないよね、ほんと。でも、なんか芹くんに素っ気なくされたって勘違いして、凄い悲しくて」
変な空気になってる…よね。
ちゃんと、謝らなきゃ。
「面倒臭い女でごめんなさい。芹くんは親戚の人じゃないのに────」
もう自分でも何言ってるのかわからなくなってきて、頬が痛くなってきたとき、優しくぎゅっと包まれた。
「…結羽はめんどくさいくらいがちょうどいいんじゃない。俺、基本的にはめんどくさいこと大嫌いだけどね、結羽はトクベツ」
耳元で響く芹くんの低い声と、うるさい程にバクバク跳ねる心臓の音。
大きな手のひらにするりと頭を撫でられた瞬間に、涙が一気に溢れ出きてた。
「っぅ…ふ、っ…芹、くんっ…ごめ、なさ…っ…」
「…いーよ、いっぱい泣いて。ぜんぶ受け止めるから」
誰かの優しさに触れたのは、きっと生まれて初めてのことで。
男の子の腕の中で泣いたのも、初めてだったんだよ。
こんな面倒くさい私を『トクベツ』って言ってくれてありがとう。