Lazy President
私以外はみんな友達や恋人と相合傘をするだとか、雨が止むまで待つとかそんな話をしているけれど。
…女友達の一人すらいないって、逆にすごくない?
両親が離婚してから、私は苗字が変わって『倉町』になった。
中学校を卒業する手前で変わったから、周りの友達やクラスメイトはもちろんそれに気づいたんだろう。
以前とは違う視線がまとわりついてきたのを、嫌でも感じてしまった。
可哀想、不憫、気の毒。
別に私はそこまで自分のことを可哀想だとは思わなかったのに、周囲の人間が過剰に反応したんだ。
それが本当に居心地悪くて、いたたまれなくて。
卒業式は逃げるように帰ったし、打ち上げなんか行かなかった。
高校では中学の人もいない…って、安心したのもつかの間。
『え、佐藤さん…!佐藤さんもここだったの!?知らなかったぁ〜!』
クラスメイトの中に中学の同級生がいて、大声で呼ばれてしまった。
『佐藤』というのは私の旧姓。
でも、今の私は『倉町』。
高校生にもなって両親の離婚がどうとか騒ぐ人なんていないとは思っていたのに、私の噂は瞬く間に広がっていき…。
私に声をかける人はほとんどいなくなって、現状に至る。