Lazy President

慌てふためく私に、芹くんは真顔で一言。



「…そんな離れたら肩が濡れるでしょ、って」




………そう、だよね。



私、なに想像してたんだろ…。



その一言で一気に冷静さを取り戻し、自分の勘違いを自覚した途端に顔が熱くなっていくのを感じた。



「そ、そっか…」



穴があったら入りたいとは、まさにこの事。



自分でもわかるくらいに頬が熱くて、触ったら火傷してしまいそう。



芹くんは芹くんで楽しそうにニヤニヤしてるし。



「今、なに想像してたの」



「なっ…なにも想像してないよ…!?」



「ふっ…結羽、嘘つくの下手すぎ。そんだけ顔真っ赤にしてたらわかるから」



「〜〜っ!!」



結局、私にとって人生初の相合傘は芹くんにからかわれて終了した。



それから芹くんと一緒にやってきた場所は、なんでかわからないけど最寄りの駅中にある服屋さんだった。



本当になんで??



「え…っと?芹くん、洋服買うの?」



思った疑問をそのままぶつけると、予想外の返答が返ってきた。



「俺のじゃなくて結羽のね」



「…うん?」



今なんて…?
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