Lazy President
そもそも芹くんのコーディネートも凄くて、トップスからボトムス、シューズの色の組み合わせも何もかもがバッチリだし。
問題なのは、私のスペックだけ。
…というより、もっと根本的なもの。
私は、本当に心の底から自信が持てない。
昔からいろんな人に「可愛い」ってよく言われてきた。
普通の人なら素直に喜べるのかもしれないけど、むしろ私はその真逆で。
自分の容姿を褒められる度に、自分と似ている“あの人”を思い出してしまって寒気がする。
『結羽は母さんに似て可愛いなぁ』
『ほーんと私そっくり。お人形さんみたいに可愛いのも、私譲りかもね?』
断片的な過去の記憶が一気にフラッシュバックして、仲が良かった頃の両親がくすくす笑うの。
2人が離婚して私が母親に似ていると知ってからは、褒め言葉も素直に受け取れなくなった。
─────なんて、面倒くさい子。
こんな過去に囚われて、今でも引きずっている面倒くさい私に「可愛い」だなんてもったいない。
「……結羽、大丈夫?どっか痛い?」
「っな、なんでもない…よ」
っ…ほら、ちょっと思い出しただけなのに、また泣きそうになってる。