Lazy President

芹くんの家が大富豪とかじゃない限り、トータルコーディネートをしてクレーンゲームをして…なんて、かなり痛い出費だ。



私と同じで一人暮らしなら、きっと仕送り生活のはず。



そんな彼にばっかり負担はかけたくない。



そう思って気になっていたことを言ってみたけど、芹くんは黙ったまま。



「……芹、くん?」



沈黙が耐えられなくなって名前を呼ぶと、芹くんは特に表情を変えないまま口を開いた。



「本当に大丈夫。そんなことは気にしないで、好きなだけ楽しんでよ」




ただ、普通の会話をしただけ。



どこにでもあるようなやり取りだった…のに、どうしてだろう。



なんとなく…本当になんとなく、昨日と同じような線引きをされた気がする。



でも、もう泣いたりしないし寂しいとも思わない。



そんなことでいちいち悩んでたらキリがないもん。



すぐに気持ちを切り替えて、袋の中から大きな黒猫のぬいぐるみを取り出した。



「……じゃあさ、これだけ芹くんが持っててよ」



無表情で何を考えてるのかイマイチ読めなそうな、真っ黒な猫。



「…いいの?」



なんとなく芹くんに似てるなぁ…って思って選んだけど、他にも理由がある。
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