Lazy President
「もちろん!それにその子ね、この子とペアなんだよ」
芹くんの言葉に大きく頷いてから、私はもう一匹の白猫を取り出した。
「この子は私が持ってるから、芹くんはその子をお願い。ね?」
ニコニコ笑顔の可愛い白猫を見せると、芹くんの口元が僅かに緩んだ。
「…大事にする。ありがとう」
本物の猫を抱くように、優しく抱きしめる芹くんの姿に一瞬ドキッとしてしまう。
な、なんか芹くんが可愛く見える…って、芹くんからお礼言われてどうするの!
ハッと我に返ってから、なんとか思考を切り替える。
「お礼を言うのは私の方じゃない…?なんで芹くんが…」
言葉を続けようとしたら、芹くんの細くて長い人差し指が唇に触れた。
「今日は俺が結羽にお礼をしたかっただけだから。昨日、色々話してくれたお礼」
話……って、私の両親の話のこと?
思い当たるのはそれくらいしかない…けど、別にあれはそんな大したことじゃない。
ただ私が過去を引きずっているっていうだけの、どうしようもない話。
……なのに。
「…結羽にとって辛い過去を、俺なんかに話してくれてありがとう。それと…ごめんね。無理やり聞き出して」