Lazy President
「い、いえいえ。今拾ったばっかりなので…」
「それでも、拾っていただいた事実は変わりませんもの。他の人なんて見向きもしなかったでしょう?」
ふふっ、と微笑する彼女のなんと美しいことか。
少し口調が気になるけれど、そのお嬢様言葉さえも似合ってしまうのだから凄い。
お育ちが良いんだろうなぁ…。
そんな庶民らしい感想しか出てこなくて、苦笑してしまいそうになったとき「もしかして…」と彼女が呟いた。
「…その制服を着ていらっしゃるということは、もしかして美桜高校のお方…?」
美桜高校というのは私が通っている高校の名前。
無駄に綺麗なんだよね…って、それは置いておいて。
「そう…ですけど。それがどうかしたんですか?」
「やっぱり!!私も、今日から美桜高校に編入いたしますの!」
「えっ!?“編入”…!?」
転入じゃなくて…!?
彼女は満面の笑みで「えぇ!」なんて答えているけれど、うちの高校に編入するにはかなりの学力が必要になる。
ただでさえ入試難関校と言われているのに、編入となったらそのはるか上を行くだろう。