溺愛体質な王子2人が甘すぎます
気持ちに応えられないことが、告白を断ることがこれだけ気力を使うものか思い知った。

「……」

黒瀬くんは何も言わずただ私を見ている。

でも返事を急かす訳には行かない。

シンっと静まって数十秒。

「はぁ……」

静かに黒瀬くんが息を吐いた。

「返事、ありがとう。好きな人が出来たんだ?」

「……」

小さく頷く。

「四季じゃなくて俺を見て……なんて言えないか。ごめん。ありがとう」

謝って欲しくない。

私が返事をしただけなのに、黒瀬くんが謝る必要なんてひとつも無い。
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