地獄から救ってくれたのは極道の人達でした。【長編】
体と頭を洗った後は、水の入った桶に先ほど脱いだ自分の服を入れて、手洗いでゴシゴシと洗い始めた。
思春期の女の子が父親に対して一緒に洗濯しないでというのと同じような感覚で、
母親は自分たちの物と一緒に洗いたくないと言って女の子には手洗いで洗うように言っていた。
洗濯して干すのも、乾いた物を取り込んで綺麗に畳むのも、それを定位置に戻すのも全て女の子がやっているというのに。
それでも女の子は文句の一つ言わず、言われた通りに淡々とこなす。
ただ女の子が洗えるのは月に数回、外に出る時だけだった。
近所の人たちに怪しまれないようにするために月に数回、外に出ている。
綺麗にしてから。
近所の人たちは学校に行ってないのも知っている。
しかし母親は、「体が弱いから家で安静にしているの」と嘘をついて近所の人たちを上手いこと騙していた。
本当に近所の人たちはこの状況に気づいていないのかは、分からないが·····。