地獄から救ってくれたのは極道の人達でした。【長編】
一.[これが日常]






両親から虐待をうけている、ある女の子がいた。


その女の子は母親から


『あんたなんか産まなきゃよかった』

『邪魔』

『消えて』

『あんたの顔なんて見たくないのよ』


などと言われ続け、目をも瞑りたくなるような酷い虐待を受けていた。


そのせいで普通の子供なら、泣いたり、笑ったり、怒ったり、わがままを言ったりするものだが、この女の子はずっと··········


──表情だった。



どんなに酷いことを言われても、顔を殴られても、体を蹴られても、泣くことも、抵抗することも一度もしなかった。


わかっていたのだろう。


そんなことをしても·····無駄だと。
意味がないと。


泣いて頼めば暴力をやめてくれるのか、
抵抗して言い返せば暴言を吐くのをやめてくれるのか、
いいや、やめてくれるどころか、もっと酷いことになるだろう。


それを女の子は幼いながらにもわかっていたのだ。


そしてそんな月日が、女の子にとってはそれはそれはものすごく長く、ゆっくりと流れる。

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