地獄から救ってくれたのは極道の人達でした。【長編】

その夜。
突然えみちゃんは自分の話をしはじめた。


「えみね、パパと血が繋がってないんだって。でも生まれたばかりの、まだ赤ちゃんの妹はパパともママとも血が繋がってるんだって。それがえみにはまだ何が違うのかよくわからないの。」

「……」

「でもね、パパはいつもえみを見てくれないんだ。妹のことばっかり。妹のことは可愛いって大事だっていつも見てるのに。それで、言っちゃあいけないこと言っちゃったの。」

「……」

「妹なんかいらないって、いなくなればいいって。パパなんか……嫌いだって。家を飛び出しちゃったの。でもちゃんと考えたら、えみはお姉ちゃんだから妹を守らないといけないって。それなのに怖い人たちにこんなところに連れてこられて……。」

「……」

「あんなこと言ったからバチが当たったんだよね。だから早く帰って謝らないといけないの。それでパパに、血が繋がってても、血が繋がってなくても、パパはパパだよっていいたいの。」

「……」


えみちゃんは目にためた涙を乱暴に手で拭いた。

今度は泣かずに、泣きたいのをグッと我慢している様子だった。

女の子は·····何も答えなかった。
答えられなかった。

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