地獄から救ってくれたのは極道の人達でした。【長編】
里親が決まったと言ってから3日が経った。
そしてついに、お別れの日──。
部下が運転する車の後ろに、桃子が持っている全ての荷物を入れる。
誕生日にみんなからもらったもの。
一緒に選んで買ってもらった服。
夢の国で買ってもらったキャラクターの被り物。
出会ったのがあの場所なだけあって、桃子は最初、何も持っていなかった。
それをみんなが一から揃えてくれた。
桃子が持っていく荷物には、一つ一つ、全てに思い出が詰まっている。
全ての荷物が入れ終わり、桃子は車に乗るために足を少し上げた。
が·····足をとめ、再度地面に足を戻す。
そして後ろにいたみんなの方を振り向く。
「·····」
しかし桃子はそのまま黙ってしまった。
「ん?どうした?」
黒神は桃子にしか見せない優しい顔をして桃子に声をかける。
そこでようやく桃子は口を開く。