地獄から救ってくれたのは極道の人達でした。【長編】

するとどんどん顔がはっきり見えるようになる。

綺麗に鼻筋が通った、端正な顔立ち。
 

その男は一歩一歩を大事に、期待、願望、欲望を含ませながらピカピカに磨かれた革の靴でゆっくり、ゆっくり、地面を踏む。


右手にはどこか見覚えのある少し古そうなカメラを持っていた。


すると急に小さい頃の記憶がフラッシュバックしてきた。


 ✿
 

「勉強始めようか」

「今日は算数のドリルをしようか」

「うん」

「前の続きのここからだね」


そう言ってページを開いて渡してくれる男性。
それを受け取ってからすぐに解き始めた。

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