地獄から救ってくれたのは極道の人達でした。【長編】






女の子がまだ5歳の時、まだ誰も起きない時間。

外もまだ薄暗く、完全に明るくなっていない時間帯。


女の子はいつものように目を覚ます。


なんとなくいつもより体が重いなと感じる。

しかしゆっくりはしていられないため、無理やりにでも急いで体を起こす。


それは、昨日の夜に食べた後の食器の洗い物や、部屋の掃除をするためだ。

先ほども言ったが、女の子はまだ“5歳”だ。


ただの子供のお手伝いなどではない。
れっきとした家事を淡々とこなしている。


昨日の夜に使った食器だって、女の子が使ったわけではない。
女の子は、夜ご飯はまともに食べさせてもらったことがなかった。


なのでその使った食器は全て·····両親が使ったもの。


女の子が使ったわけでもないお皿や、お茶碗、はしに料理の際に使った油だらけのフライパン、ボウルにザルにと使ったものは全てそのまま置いてある。

「洗い物しとけよ」という意味で。


水につけておいてくれれば少しでも楽なのに、もちろんそれすらもしない。


お湯を使うなと言われていたため、冬の洗い物は手がカジカジに、赤くなりながらもやっている。

特にきついのが油物の汚れ。


冷たい水ではなかなか落ちない。
何度も何度も洗剤をつけては洗い流すを繰り返す。

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