地獄から救ってくれたのは極道の人達でした。【長編】
「ちょっと片付けてからいくから、さっき居たみんなのとこに戻っておいてくれる?」
桃子は頷いて浴室から出た。
言われた通り、先程までいた部屋に向かう。
動くと自分の髪から嗅いだことのない良い匂いがする。
すると向こうから黒神が歩いてくる。
黒神は手に持っている資料に集中しているのか、こちらに気付いていない様子。
桃子が黒神の横を通った時、ふと黒神の方を見上げると、黒神は眉間に皺を寄せて険しい顔をしていた。
桃子はそんな様子を見て、先ほど青葉からもらった"飴"を取り出し、後ろから黒神の服を軽く引っ張る。
「ん·····ももか、どうした?」
黒神は桃子に気付き、桃子の目線に合わせるようにしゃがんだ。
桃子は何も言わずそのまま黒神の前に手を差し出す。