地獄から救ってくれたのは極道の人達でした。【長編】

「桃子さんですが、怪我はかなり古いものもあったので、おそらくかなり前から·····もしかしたら、まだ産まれたばかりの赤ちゃんの時から、虐待されていたと思われます」

「·····っ、」

「それから、身長体重も同年代の子達よりも低いしかなり軽いですが、栄養をあるものを食べれば時期良くなるでしょう。今までは十分に食べれていなかったのでしょうね」

 
「そして·····しゃべらないという件ですが、検査では異常がなかったのでおそらく、精神的なものだと思われます。耳が聞こえていないわけでも、声が出せない訳でもないので、そのうち話せるようになるでしょう。時間はかかるかもしれませんが·····」

「そうすか·····」

「決して無理に声を出させようとしないでください。桃子さんは──·····」


病院の帰り、気分転換に少し歩くか、と言って桃子と赤宮は手を繋ぎながらぶらぶらと歩く。
 

赤宮は近くにあった看板を見て、
「ももちゃん、あそこのパフェ食べに行かない?」
と桃子をパフェに誘った。
 

赤宮は少しでも桃子に笑顔になって欲しいと思った。


それは、先ほど医者から言われた言葉が頭の中で何回も復唱され、グルグルと頭をかき乱し、離れなかった·····。

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